計算機による材料設計の過去・現在・未来 実験による試行錯誤を繰り返すことなく,指導原理に基づいた合理的な材料設計を実現したい―材料研究者にとっての長年の夢は計算機の進歩とともに現実味を増し,AIの台頭によるさらなる加速がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の興隆につながっている。しかし,MIが実験による試行錯誤に取って代わったと言ってよいだろうか。本講演では,計算機による材料設計の歴史を振り返り,計算機やソフトウェア,AIの進歩が変えたこと/変えつつあることと変わらなかったことを見極めた上で,生成AIやPhysicalAI,量子コンピューティングといった注目の新技術が材料設計をどう変えていくかを考えてみたい。
計算科学と実験評価を駆使したギ酸分解触媒のメカニズム解明と新奇材料創生 ギ酸は水素キャリアとして有望であるが、エネルギー効率や低活性が課題である。そこで本研究では、量子力学に基づく第一原理計算を駆使してギ酸分解反応のメカニズムを解析し、新奇ギ酸分解触媒に関して設計指針構築することを目的とした。Materials StudioのFlexTS活用で、アミンを介した水素移動経路が活性化エネルギー低減することでエネルギー効率化に寄与することを明らかにし、さらにDMol3活用でPdAg触媒へのTi添加および表面微量元素制御が活性向上に有効である可能性を見出した。実験検証においても提案触媒は従来材を上回る活性を示した。高効率なギ酸分解触媒の妥当性を検証し、設計指針を提案した。
レザは、R&D、ポートフォリオ管理、合併・買収の推進など、30年以上にわたる経営管理の経験を有しています。最高戦略責任者として、BIOVIAのポートフォリオ全体とBIOVIAの契約研究機関(CRO)を統括しています。防衛業界でキャリアをスタートさせた後、パロアルトのスタートアップ企業で経営職を務め、その後MSC Softwareに入社しました。MSC Softwareの最高技術責任者(CTO)として、グローバルR&Dと、マルチスケールモデリング&シミュレーションおよびシミュレーションライフサイクル管理を担当するチームを擁する多業種ポートフォリオを統括しました。米国国立研究所を含む、数多くの諮問委員会の役職を歴任しています。カリフォルニア州ラホヤ在住。現在、UCSDおよびSDSUの工学大学院で非常勤講師を務めています。
ELNを起点とした研究データ基盤の構築 ~機械学習によるナレッジ活用を見据えた取り組み~ 千寿製薬株式会社では、創薬研究から申請を見据えたGxP試験までをシームレスにつなぐ研究データ基盤の構築を目的に、電子実験ノート(ELN)の導入を進めています。弊社の研究開発部門では、ELNを起点とした研究データの蓄積を基盤に、検索性の向上や研究資産化、品質・コンプライアンスの強化を図り、研究資産を商業時の安定供給にも活用するなど、単なる記録管理を超えたデータ活用基盤の実現を目指しています。AIの普及に伴い、データの価値が「保有」から「活用」へと大きく変化する中、本発表では、ELNを基盤としたデータ活用環境の整備において直面した課題とその解決に向けた試行錯誤を紹介するとともに、機械学習等によるナレッジ活用を通じた研究開発DX推進の事例について共有します。
先端半導体向け薄膜成膜技術におけるDFTシミュレーションの活用 AI時代を支えるLogicやMemoryなどの先端半導体デバイスの製造には、ナノメートルレベルの薄膜形成を可能にするALD(Atomic Layer Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)が不可欠である。しかし、デバイスの微細化・高集積化に伴い、これら成膜プロセスの開発難易度は急速に高まっている。本講演では、ALD・CVD技術の高度化に向けた取り組みとして、DFT(第一原理計算)をはじめとするミクロシミュレーションやデータ科学の活用事例を紹介し、プロセス開発の効率化と高度化への可能性を示す。
Machine Learning-Based Prediction of Polymer Chemical Resistance to Organic Solvents 本研究では、有機溶媒に対する高分子材料の耐薬品性を予測するため、2,231件の高分子-溶媒組み合わせデータを用いた機械学習モデルを構築した。解析の結果、高分子の結晶性や密度、ならびに溶媒の極性が耐薬品性と関連することが確認され、その傾向は既存の理論モデルとも整合していた。さらに、分子動力学(MD)シミュレーション由来の記述子やCOSMO-RSのχパラメータを用いた勾配ブースティングモデルは、ROC-AUC 0.85~0.91の高い予測性能を示した。これらの結果は、データセットの適用範囲に留意する必要があるものの、高分子材料の耐薬品性評価における探索的スクリーニングや新たな仮説創出のための有用な基盤となることを示している。
ELNを起点とした研究データ基盤の構築 ~機械学習によるナレッジ活用を見据えた取り組み~ 千寿製薬株式会社では、創薬研究から申請を見据えたGxP試験までをシームレスにつなぐ研究データ基盤の構築を目的に、電子実験ノート(ELN)の導入を進めています。弊社の研究開発部門では、ELNを起点とした研究データの蓄積を基盤に、検索性の向上や研究資産化、品質・コンプライアンスの強化を図り、研究資産を商業時の安定供給にも活用するなど、単なる記録管理を超えたデータ活用基盤の実現を目指しています。AIの普及に伴い、データの価値が「保有」から「活用」へと大きく変化する中、本発表では、ELNを基盤としたデータ活用環境の整備において直面した課題とその解決に向けた試行錯誤を紹介するとともに、機械学習等によるナレッジ活用を通じた研究開発DX推進の事例について共有します。
研究開発を変革するAI・ロボットDX ー汎用型理化学試験ロボットと生成AIによる自動文書作成 ー 本講演では、CMC研究開発における生産性向上を目的に、自動文書作成AIと汎用型理化学試験ロボットの開発・活用事例を紹介します。自動文書作成AIは、実験データ、製造記録、分析結果、過去文書、SOP等を統合し、実験計画書、報告書、技術資料、CTDなどの文書作成を支援します。情報収集・文書作成・レビューに要する工数を削減するとともに、記載品質の標準化、根拠追跡性の向上、知見の継承を実現します。また、汎用型理化学試験ロボットによる秤量、調液、サンプル調製、分注、測定などの実験業務自動化についても解説します。実験の再現性向上、ヒューマンエラー低減、データの自動取得・記録を通じ、研究者・技術者がより高度な実験設計や技術判断に集中できる環境を目指します。AIとロボット、ならびに電子実験ノート・LIMS等のデータ基盤を連携させ、実験からデータ取得、報告書作成までを一気通貫でデジタル化する、次世代CMC開発の姿を提示します。
医薬品開発における計算科学を活用した物性研究事例 医薬品開発において、計算科学やAIの活用がますます注目されている。本講演では、その一例として物性研究を中心に、計算科学を活用した事例を紹介する。塩共結晶や溶媒和物形成予測、溶媒への溶解性予測を通じた結晶化条件探索などへの適用例を通じて、計算科学が物性研究における仮説構築や実験計画の立案にどのように活用できるかを紹介する。さらに、実験データとの連携による研究効率化の可能性や、製薬企業における計算科学とAIの活用動向について、今後の展望も交えながら紹介する。
AIエージェントで実験記録を「貯める」から「活かす」へ 弊社では、電子実験ノート(ELN)に蓄積された実験記録を、AIエージェントによって有効活用する仕組みについて、お客様との議論を通じて検討を重ねている。
本講演では、ELNに記録が蓄積されていても十分に活用されにくい課題を起点に、記録の作成から活用までの各段階をトータルでAIエージェントが支援する実現の一例を紹介する。
あわせて、検討の過程で見えてきた、AI活用を進める上で整理すべき事項についても述べる。
電子実験ノート活用の現在地 ~利用実態調査から見えた課題と可能性~ 当社では、研究記録の信頼性向上と情報共有を目的に電子実験ノートの導入を進めてきましたが、組織によって利用状況に差が見られ、活用は思うように広がりませんでした。そこで利用実態を調査したところ、日常的に記録を活用しているグループがある一方で、ほとんど使われていないグループもあることが分かりました。さらに管理者への聞き取りからは、その違いがチームの運用や記録の活かし方に関係していることも見えてきました。本講演では、実態把握を起点として見えてきた課題と、そこから進めている運用改善やデータ活用の取り組みについてお話しします。
3DEXPERIENCEが変える製薬ラボDXーグローバル事例 製薬・バイオ医薬品企業のラボでは、実験データが紙やExcel、部門ごとのシステムに分散し、十分に活用されていないのが実情です。3DEXPERIENCEプラットフォームを基盤にラボ業務のデジタル変革を進める、グローバル企業各社の取り組みをご紹介します。ELNとLIMSの統合によるワークフロー標準化、分析機器のデータ自動取り込み、CMC領域における分析法バリデーション文章の構造化、ラボデータとバーチャル・コンパニオンのMARIEの活用など、実プロジェクトで得た知見をもとに、データの一貫性とコンプライアンスを確保しながら科学者の生産性を高めるための実践的なヒントをお伝えします。
研究開発における最大の独自データである電子実験ノートと生成系AIのシナジー 生成AIが急速に進化する中、組織が保有する独自データをいかに活用するかが研究開発における競争力の源泉となりつつあります。本発表では、電子実験ノート(BIOVIA)に蓄積された実験記録と生成AIを連携させ、どのような価値を生み出せるのかをデモを交えてご紹介します。例として、ある研究テーマに必要な実験技術を整理し、関連する経験を持つ社内研究者をAIが提示するユースケース等を取り上げます。また、その実現に向けた実践上のポイントや課題についても共有します。参加者の皆様との意見交換を通じて、電子実験ノートと生成AIを活用した研究開発のより良い姿をともに考えたいと思います。
熱硬化性樹脂の分子シミュレーションの最新事例 BIOVIA Materials Studioを用いた熱硬化性樹脂の分子シミュレーションについて、最新の計算事例をご紹介します。ForciteやMesociteによる古典分子動力学法をベースに、反応を確率的に取り扱うことで硬化過程を模擬した、エポキシ樹脂の全原子およびメソスケールでの計算事例を紹介します。さらに、DMol³およびFlexTSで計算した熱硬化反応経路を学習してファインチューニングした機械学習ポテンシャルMACEによる、反応を伴う分子動力学シミュレーションなど、熱硬化性樹脂シミュレーションの最新の取り組みを幅広くご紹介します。
小型協働ロボットによるラボラトリーオートメーション 小型協働ロボットCOBOTTAとIoTによる分析前処理作業の自動化を通じて、研究業務の効率化と品質向上を実現する取り組みをご紹介します。煩雑な定型作業をロボットが行うことで研究者の負担を軽減するとともに、実験の再現性を高め、さらにロボットが夜間や休日も稼働し続けることで研究を加速させる可能性についてお伝えします。
新アプリケーション Materials Intelligence のご紹介 BIOVIAは新製品開発に取り組む設計者や材料エンジニアを対象に、より先進的な製品デザインと高精度なシミュレーション結果を得る為に不可欠な、高品質な材料情報を提供する機能をリリースしました。Materials Intelligenceは金属、複合材料、ポリマーなどの材料データ・コンテンツを検索・参照する機能を提供し、3Dモデルの材質への適用とマクロスケールの構造シミュレーションへの活用の道を提供します。
理論計算を実験につなぐ有機材料開発の実践 村田製作所では、有機材料開発の競争力向上に向け、理論計算を中心としたデジタル技術の活用を進めている。実験部門との議論から開発に必要な物性を明確化し、Materials Studioなど各種計算ツールを活用して、対象物性を計算する仕組みを構築している。適用条件と評価方法を明確化したものはPipeline Pilotで自動化し、実験担当者が利用できる形で展開している。実験担当者が得た計算結果を双方で継続的に確認し、計算・実験条件や結果の差異を議論することで、計算結果の解釈や適用範囲への理解を深め、次の計算・実験の検討につなげている。本講演では、誘電特性の事例を中心にその実践を紹介する。
電子実験ノートを活用した週報運用改革 ~研究者にメリットを感じてもらうための取り組み~ 電子実験ノート(ELN)は研究データの蓄積や共有基盤として期待されていますが、当社では導入後、「研究者にとって活用するメリットが見えにくい」という課題がありました。そこで私たちは、研究者が日常的に実施している週報業務に着目し、ELNを活用した情報共有の仕組みづくりに取り組みました。本講演では、週報と実験記録を連携させることで、重複入力の削減や情報共有の効率化、セキュリティを考慮した運用を検討した事例を紹介します。また、活用度向上活動を通じて得られた気づきや、研究者にメリットを感じてもらうための運用設計の考え方について共有します。