計算機による材料設計の過去・現在・未来 実験による試行錯誤を繰り返すことなく,指導原理に基づいた合理的な材料設計を実現したい―材料研究者にとっての長年の夢は計算機の進歩とともに現実味を増し,AIの台頭によるさらなる加速がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の興隆につながっている。しかし,MIが実験による試行錯誤に取って代わったと言ってよいだろうか。本講演では,計算機による材料設計の歴史を振り返り,計算機やソフトウェア,AIの進歩が変えたこと/変えつつあることと変わらなかったことを見極めた上で,生成AIやPhysicalAI,量子コンピューティングといった注目の新技術が材料設計をどう変えていくかを考えてみたい。
【講演タイトル・概要】
機械学習を用いたポリプロピレンを高弾性化できる添加剤の発見
ポリプロピレンは、自動車部品として非常に良く使われている樹脂である。添加剤をポリプロピレンに加えることで、その機械的性質(弾性率など)を向上させることができれば、材量削減による軽量化の実現が可能となる。そこで、本報では、機械学習を用いてポリプロピレンを高弾性化できる添加剤を探索し発見する。
【略歴】
2019年入社。出口水温・大規模車両データ解析・機械学習・自動化/自律化・冷却液・ポリプロピレン添加剤・触媒・分子構造生成/探索/発見・マテリアルズインフォマティクスなどを担当。
レザは、R&D、ポートフォリオ管理、合併・買収の推進など、30年以上にわたる経営管理の経験を有しています。最高戦略責任者として、BIOVIAのポートフォリオ全体とBIOVIAの契約研究機関(CRO)を統括しています。防衛業界でキャリアをスタートさせた後、パロアルトのスタートアップ企業で経営職を務め、その後MSC Softwareに入社しました。MSC Softwareの最高技術責任者(CTO)として、グローバルR&Dと、マルチスケールモデリング&シミュレーションおよびシミュレーションライフサイクル管理を担当するチームを擁する多業種ポートフォリオを統括しました。米国国立研究所を含む、数多くの諮問委員会の役職を歴任しています。カリフォルニア州ラホヤ在住。現在、UCSDおよびSDSUの工学大学院で非常勤講師を務めています。
ELNを起点とした研究データ基盤の構築 ~機械学習によるナレッジ活用を見据えた取り組み~ 千寿製薬株式会社では、創薬研究から申請を見据えたGxP試験までをシームレスにつなぐ研究データ基盤の構築を目的に、電子実験ノート(ELN)の導入を進めています。弊社の研究開発部門では、ELNを起点とした研究データの蓄積を基盤に、検索性の向上や研究資産化、品質・コンプライアンスの強化を図り、研究資産を商業時の安定供給にも活用するなど、単なる記録管理を超えたデータ活用基盤の実現を目指しています。AIの普及に伴い、データの価値が「保有」から「活用」へと大きく変化する中、本発表では、ELNを基盤としたデータ活用環境の整備において直面した課題とその解決に向けた試行錯誤を紹介するとともに、機械学習等によるナレッジ活用を通じた研究開発DX推進の事例について共有します。
先端半導体向け薄膜成膜技術におけるDFTシミュレーションの活用 AI時代を支えるLogicやMemoryなどの先端半導体デバイスの製造には、ナノメートルレベルの薄膜形成を可能にするALD(Atomic Layer Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)が不可欠である。しかし、デバイスの微細化・高集積化に伴い、これら成膜プロセスの開発難易度は急速に高まっている。本講演では、ALD・CVD技術の高度化に向けた取り組みとして、DFT(第一原理計算)をはじめとするミクロシミュレーションやデータ科学の活用事例を紹介し、プロセス開発の効率化と高度化への可能性を示す。
Machine Learning-Based Prediction of Polymer Chemical Resistance to Organic Solvents 本研究では、有機溶媒に対する高分子材料の耐薬品性を予測するため、2,231件の高分子-溶媒組み合わせデータを用いた機械学習モデルを構築した。解析の結果、高分子の結晶性や密度、ならびに溶媒の極性が耐薬品性と関連することが確認され、その傾向は既存の理論モデルとも整合していた。さらに、分子動力学(MD)シミュレーション由来の記述子やCOSMO-RSのχパラメータを用いた勾配ブースティングモデルは、ROC-AUC 0.85~0.91の高い予測性能を示した。これらの結果は、データセットの適用範囲に留意する必要があるものの、高分子材料の耐薬品性評価における探索的スクリーニングや新たな仮説創出のための有用な基盤となることを示している。
ELNを起点とした研究データ基盤の構築 ~機械学習によるナレッジ活用を見据えた取り組み~ 千寿製薬株式会社では、創薬研究から申請を見据えたGxP試験までをシームレスにつなぐ研究データ基盤の構築を目的に、電子実験ノート(ELN)の導入を進めています。弊社の研究開発部門では、ELNを起点とした研究データの蓄積を基盤に、検索性の向上や研究資産化、品質・コンプライアンスの強化を図り、研究資産を商業時の安定供給にも活用するなど、単なる記録管理を超えたデータ活用基盤の実現を目指しています。AIの普及に伴い、データの価値が「保有」から「活用」へと大きく変化する中、本発表では、ELNを基盤としたデータ活用環境の整備において直面した課題とその解決に向けた試行錯誤を紹介するとともに、機械学習等によるナレッジ活用を通じた研究開発DX推進の事例について共有します。
CMC開発の生産性を飛躍させる自動文書作成AI 本講演では、CMC研究開発における文書作成を革新する自動文書作成AIの開発と活用事例を紹介する。実験データや製造記録、分析結果など多様なデータを統合し、AIが文書を自動生成する先進的な仕組みと、その導入による生産性の飛躍的向上を具体例とともに解説する。さらに、実験計画書や報告書、CTDなど紙媒体のデジタル化を通じたデータ基盤の構築と高度活用にも触れ、次世代CMC開発におけるAI活用の方向性を提示する。